大漁
朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰮の
大漁だ。
浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何万の
鰮のとむらい
するだろう。
*『金子みすゞ童謡集』ハルキ文庫より
中島潔さんの展覧会の最後は、
ふすまいっぱいに、びっしりと描かれた
いわしの大群の絵。
その真ん中に少女が立っている。
2002年に福岡三越で見た
中島潔が描く金子みすゞの
同様の絵の中の少女は、いわしたちが
泳いでいく先を見ていた。
けれども、今回の襖絵の少女は、
泳いでくるいわしたちに
向きあっている。
そして、いわしたちは、
最後は、天へと向かって泳いでいくのだ。
ありがとう
ありがとう
生命(いのち)たち
ありがとう
ありがとう
私がこうしてここに
生きていられるのは
あなたたちのおかげ
無数の生命(いのち)を
食らってきたおかげ
この戦慄を
この震撼を
私は忘れていた
ありがとう
行くのだね
天へ
あの生命の源の
光の中へ
輝きながら
私もいつか行くだろう
けれども 今は
私は私を生きよう
全き私を精一杯に生きて
この生命(いのち)を
輝かせよう

